アメリカの作家インタビュー事情、日本とこれだけ違う

2023年11月14日のニュースレター
彗星ブッククラブ 2023.11.14
誰でも

皆さんこんにちは、森 大那です。

私の経営する合同会社彗星通商は、

新サービス『彗星ブッククラブ』を2023年11月1日に開始します。

このニュースレターでは、以下の2種類の情報をまとめていきます。

  • サブスクサービス『彗星ブッククラブ』の最新情報本の著者インタビュー動画情報、読書会レポート、ウェブサイトアップデートのお知らせ

  • YouTube&Twitterで配信している話題それぞれのアカウントで発信した内容のまとめと補足

本から刺激されるクリエイターから、隙間時間に読書を楽しむ本好きまで、

読書を愛する人にはきっと参考になるはずです。

目次

  • 一行まとめ

  • 利用ガイド

  • メンテナンス情報(なし)

  • インタビュー情報

  • 読書会情報

  • YouTube&Twitterまとめ

一行まとめ

アメリカの文化的強さを見せつけられる。
(詳細は後ほど)

利用ガイド

彗星ブッククラブには、映像ライブラリというページがあります。
メニューに表示されていて、気になった方も多いでしょう。

こちらは、彗星ブッククラブ内のインタビュー動画・解説動画を検索できるページ。
加えて、最新の動画がわかりやすく表示されています。
動画を優先的にチェックしたいユーザーにとっては、それぞれの書籍詳細ページをご覧いただく手間を省くことができます。

現在の動画が全部で11本とはいえ、まだまだ少ない状態。
今後、動画が増えていくほどに、便利さを実感できるはずです。

インタビュー情報

短編集『禍』の著者・小田雅久仁さんに、本書の裏側をお聞きしました。
私からの質問は以下の5つです。

  • 身体描写・身体感覚の説明が細密であることは本書の大きな特徴ですが、この工夫を凝らした理由を教えてください。(意識的だったのでしょうか、それとも無意識に出てくる文体だったのでしょうか。)

  • 各作品のアイディアは、今日の文学の世界で言われる「奇想」という言葉で言い表してもよいと思われます。「奇想(なんらかの意味での)」は、創作・読書を通して、小田さんご自身が好むモチーフでしょうか。

  • 執筆時にジャンルは意識されますか。

  • 帯文を書いた3人は、日本屈指の想像力を持つ作家が選ばれており、『禍』を読む前も、読み終えてからも、帯を見るたびにニヤリとしてしまいました。3人を起用した帯文の人選は誰のご希望だったのでしょうか。

  • コミカライズや海外版翻訳に関する小田さんの感想を教えてください。

濃密な文体や未曾有の恐怖を小説で描く作風からは想像できない、小田さんの穏やかな語り口と思考にご注目ください。

特に私が気になっていたのは、本書の帯を書いた、伊藤潤二・小島秀夫・恩田陸という人選が、どのように決まったかという点。
小田さんと一緒にご出演いただいた、担当編集の村上さんに教えていただきました。

ご視聴はこちらから。入会・ログイン後にご覧いただけます↓

読書会情報

11月26日21時からの『文豪たちの関東大震災』Zoom読書会に、
編者の児玉千尋さんが参加されることが決定しました!

(なお児玉さんはカメラ・マイクオフでのご参加となります。)

本書を作ったご本人に感想を伝えられるチャンスを、皆さんの読書体験のひとつとしてお役立てください。

YouTube&Twitterまとめ

彗星ブッククラブでは、本の著者へのインタビューを行ない、それを動画で配信しています。
元々この発想は、アメリカのニュース番組やオンラインサービス上で、作家のインタビューがよく目に留まるからでした。

これについてはこれまでTwitterで何度か語ってきましたが、改めてまとめてみます。

比較文化論っぽくなりますが、今回は、日本には全然見られない「作家へのインタビュー」というカルチャーについて詳しく見ていきましょう。

***

YouTube「彗星読書倶楽部」チャンネルで言及しようとして没にしたネタに、「海外の作家インタビュー事情」がありました。

これはこのニュースレターでこそ、いよいよ取り上げるべき話題かと思います。

まずは今年9月に公開されたこちらの映像を見てみてください。
全編英語ですが、雰囲気だけ感じていただければ十分です。

配信しているCBSニュースは、アメリカのテレビ・ラジオ放送局のニュース部門。24時間ニュース番組を流しているチャンネルも持っていて、ここは、日本人がアメリカを羨むべき点の一つです。

そしてインタビューを受けているのは、世界一有名な小説家と言っても過言ではない、スティーヴン・キング。

最新作『Holly』出版に際してのインタビューです。

『Holly』の内容紹介もありながら、キング本人の人生をテンポ良く紹介し(このテンポよく、も見習うべき部分ですが)、インタビュアーが初めてキング作品に触れた時のことからも話題が広げられています。

日本においてはニュース番組での作家インタビューなんて、よほど注目され、社会現象クラスにならないとお目にかかれません。
言論公表者(この言葉は小説家・大西巨人のもの)たる小説家が、日本では映像メディアには登場せず、新聞・雑誌・大手ウェブメディアのインタビュー記事にしか登場しない、というわけです。

なお日本では、小説家・小川哲が今年4月2日から、TOKYO FMで日曜5:30の番組『Street Fiction』のパーソナリティーを務め、ちょっと事態が改善しています↓

ところで上の動画、注目してほしいのは、6:50頃から始まる、スタジオの映像。
インタビュアーの男性はこの番組の司会で、スタジオにいる二人の別司会者とキングについて語っている。

この様子が、とても読書会的です。
しかも、参加者のボルテージが最も上がったタイミングでの、興奮まじりに語る様子。

この3人の声の張りや仕草に注目すると、さすがにそこは、日本人には見られない大ぶりな感じがしますが、こんな白熱した読書会をしてみたいと思う、そんなやりとりです。

例をもう一つ。

TheDailyShowといえば、ニュース番組を装った政治風刺番組。
日本では一部の人しか知りませんが、YouTubeでたくさん見られます。

このゲストはエッセイストのロクサーヌ・ゲイ。ハイチ移民2世のアメリカ人です。
日本語にも翻訳された『バッド・フェミニスト』の著者、と聞けば、思い出す人もいるかもしれません。

基本はジョークを連発するおふざけ番組とはいえ、政治を取り扱う姿勢はブレません。
この映像では、司会のトレヴァー・ノアが、大真面目にロクサーヌ・ゲイと話し合い、自分のコメディアンとしての立場を客観的に語る場面すらあります。

そしてノアはちゃんとゲイの本を読んでいる。
話題は、ゲイが12歳の時に強姦された経験から始まります。ゲイが冷静に語り出せる人物であることも重要ですが、ノアの視線、姿勢、声の出し方は、おふざけ気分のかけらもありません。

こうしてYouTubeでアメリカの作家のインタビューを見ていると、国内のさまざまな言説を取り上げ、本人に語ってもらい、文化の土壌を拡げていく方法を持っているのだと痛感させられます。

彗星ブッククラブはサービス維持のために動画の無料配信はできませんが(でも断片的には公開予定)、今の日本でどのような想像力、どのような視点が存在しているのか、全力で取り上げ、今を生きる人々と未来の人々に伝えていきます。

***

次回のニュースレターは、11月21日21時に配信です。

最新情報は、
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もしくは
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のお知らせ欄からご覧ください。

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